「産後クライシス」という言葉を聞くようになったのはここ数年のことですが、産後の夫婦関係が悪くなるのは今に始まったことではありません。
女性は子どもを産んで母になると、今までと全く違った感情や感覚になる人もいます。
この記事では産後クライシスの原因や、産後クライシスにならないために、全男性に覚えておいてほしいことなどをまとめました。
産後クライシスって何?
産後クライシスとは出産をきっかけに夫婦が不仲になることを指します。産後はホルモンバランスが崩れ、慣れない育児に精神的に追いつめられることも少なくありません。
初めての育児で不安が大きく、ピリピリしてしまう女性もいるでしょう。
そんなときの夫の何気ない言動や消極的な育児態度を見ると、普段は気にしないことでもイラっとしてしまうのです。
産後クライシスの原因
産後クライシスになる原因は人によってさまざまです。
ホルモンバランスが乱れる
産後クライシスになる大きな理由の一つに、ホルモンバランスが崩れることが挙げられます。女性は妊娠前と妊娠中にエストロゲンとプロゲステロンが分泌されます。
そして出産後胎盤が子宮から剥がれ落ちるとそれらのホルモンはほぼゼロの状態になり、今度は母乳を作るためにオキシトシンとプロラクチンというホルモンが分泌され、プロラクチンには性欲を減退させる作用があります。
つまり妊娠中一生懸命出ていたホルモンが産後ピタっと分泌されなくなり、他のホルモンが出されるわけです。ホルモンバランスが安定しないのも無理はありません。
ホルモンバランスが安定しないので、気持ちのコントロールができなかったり、イライラしやすい状態になります。
子どもを優先する生活になる
産後は当たり前ですが子どもを優先する生活になります。母乳やミルクをあげ、延々と繰り返されるおむつ替え、睡眠時間を削って夜泣きの対応。
少なくとも最初の3ヶ月は旦那さんのお世話をする暇はありません。それに対して男性が不満を持つとイライラがぶつかってしまいます。
子育てに対する漠然とした不安
生まれたばかりの赤ちゃんは、ふにゃふにゃで可愛いですが、すぐに壊れてしまいそうな儚い存在です。可愛くて可愛くて仕方ない反面、「ちゃんとお世話できるだろうか」と不安な気持ちを持つ女性がほとんどではないでしょうか。
これはホルモンバランスのせいもありますが、やはり自分の体の中で子どもを育て、痛みに耐えて産んだ母親と体の変化が何もない父親では、子育てに関する不安感も違って当たりまです。
「あなたは分かってない」と女性が男性を責めたくなる気持ちも理解できますよね。
社会から孤立したような孤独感
育児は孤独との戦いという一面もあります。とくに出産前はバリバリ仕事していた女性は、出産を機に人に会わない生活になると、自分と子どもだけの世界になるとたまらない孤独感を感じることもあるでしょう。
まるで自分だけが社会から取り残されて、他のみんながキラキラしているように見えることもあります。そんな不安感や苛立ちを夫に向けてしまい険悪なムードになる人も多いです。
夫が父親の意識を持っていない
父親は自分の子どもが生まれてくるまでに苦しい・痛いなどという思いをしていません。体重が増えたり、お腹が大きくなることもありません。
そのため子どもが生まれても、すぐに「俺は今この瞬間から父親だ!」と認識することが難しい人も多いです。とくに里帰り出産の場合、男性は産後の女性の一番大変な姿を見ていないので、あまり深く考えない人もいます。
産んだ瞬間から育児が始まる母親からすれば、「もっと父親としての意識を持ってよ!」とイライラするのも不思議ではないですよね。
コミュニケーション不足
産後は超忙しいのでどうしても夫婦のコミュニケーションが不足しがちです。会話が少なくなるとスキンシップも減るため、自動的に夫婦の間に距離感ができることも。
少しずつでも溝ができていくと、埋めない限り溝が深くなっていく一方なので、結果的に産後クライシスになってしまいます。
産後クライシスを回避!全男性に覚えておいてほしいこと
産後クライシスになると夫婦関係を維持するのが難しくなり、離婚という選択をする夫婦もいます。せっかく子どもが生まれてハッピーなのだから、そうならないためにも全男性に覚えておいてほしいことを紹介します。
感謝の気持ちを言葉にする
産後クライシスにならないためには、感謝の気持ちをいちいち言葉にしましょう!日本人男性は言葉が足りません。
・夜泣きの対応してくれてありがとう!
・おむつを替えてくれてありがとう!
・授乳を頑張ってくれてありがとう!
・今日も一日子どものお世話をしてくれてありがとう!
など、妻の一日の行動に感謝してその気持ちを言葉にしてください。一番近くにいる存在である夫から感謝されて、気持ちが和らがない妻はいません。
加えて夫に感謝されることで自己肯定感も高まり、孤独感をあまり感じなくなる可能性も。
自分の子どもだという意識をもつ
産後クライシスにならないためには、自分の子どもだという意識をしっかり持ってください。お腹で育てることができるのは女性、産むことができるのも女性、しかし育てることは男性もできます。
そうです!やっと男性の出番が回ってきたわけです!可愛い我が子の世話をやらない手はないですよね!「育児に参加」「育児を手伝う」ではありません。
ただ父親として自分の子どもを世話するという当たり前のことです。とくに産後は言葉に敏感なので、「手伝う」「イクメン」なんて言葉を男性が使おうものなら、奥さんにキレられる可能性もあります。
「ママじゃないと泣き止まない」なんて情けないこと言わずに、父親としてどうにか泣き止ませる努力をしてください。
妻の功労を絶対に忘れない
女性が子どもを産むのは命がけです。陣痛は体の中でジェットコースターが動いてるような尋常じゃない痛みですし、会陰を切る人もいれば意識が遠のく人もいます。
その功労を絶対に忘れないでください。そうすれば自然と奥さんに対して優しい態度になったり、自分から行動に移せるはずです。
産後数ヶ月は文句を言わない
産後クライシスにならないためには、産後数ヶ月は妻に文句を言わないことです。
慣れない育児で思うように家事が進まずに、部屋が散らかっていることもあれば食事の準備ができないこともあります。しかしほとんどの女性はやろうという気持ちがあるにも関わらず、赤ちゃんの世話で手一杯になりできないのです。
そんなときに「部屋が散らかってるね、一日何してたの?」「ごはん作ってないのー?お腹空いた」なんて言われたら、ぶちキレ案件決定です。
「〇〇さんの奥さんは子どもを産んでも家事も育児も完璧だよ?」なんて誰かと比べられた日には離婚の二文字が頭をよぎるかもしれません。
妻と良好な関係性を維持したいなら、産後数ヶ月は絶対に文句を言わないことをおすすめします。
食事は自分で作るか、スーパーのお惣菜を買ってきてください。部屋が散らかっていたら、それだけ奥さんは一日赤ちゃんの世話が大変だったんだなと思いやってあげましょう。
産後の夫婦の営みを強要しない
産後はプロラクチンが分泌されることもあり、女性の性欲は旅に出ます。1ヶ月検診で問題がなければ再開してもいいとされていますが、ほとんどの女性がそれどころではありません。
2時間から3時間起きの授乳、赤ちゃんによっては1時間ごとに飲みたがる子もいます。そんな寝不足の中で性欲なんて1ミリも考える暇はないんです。
もし理解できないなら、夜中に2時間ごと目を覚まし、赤ちゃんにミルクをあげる生活を1ヶ月してみてください。何よりも「寝たい…」となるはずです。
絶対にNGなのは「ネットには産後1ヶ月からOKって書いてるよ?」などの愛のない言葉。目の前にいる疲れ切っている奥さんを見てもそんなことを言えますか?
「してもいい」と「したい」は天と地ほどの差があります。産後の夫婦生活は産後1ヶ月から再開してもいいだけで、産後1ヶ月からしたくなるわけではありません。
男性はホルモンバランスが崩れないので性欲に変化がなくて当たり前ですが、絶対に奥さんに強要しないでください。浮気なんて問題外です。
どうするのがお互いのためにベストかを優しい言葉で話し合いましょう。
産後クライシスにならないために!夫婦の対処法
最後に産後クライシスにならないために夫婦でできることを4つ紹介します。
妊娠中からたくさん気持ちをシェアする
産後クライシスにならないためには、妊娠中から出産後もたくさん気持ちをシェアする習慣をつけましょう。女性は自分のお腹が大きくなるので感覚的に変化を感じ取れますが、男性はそういった変化が一切ありません。
「胃が圧迫されて苦しいこと」「トイレが近くなって夜もよく眠れないこと」「あまり体重を増やしたくないけれど食べないと気持ちが悪いこと」など妊娠中に起こる全てのことを、逐一旦那さんとシェアしましょう。
そうすることで男性は自分では感じることができなくても、「女性は大変なんだ」ということを少しずつ理解し始めます。そして気持ちをシェアすることが習慣になっている夫婦であれば、産後もコミュニケーション不足になることなく、お互いを思いやれるはずです。
役割分担を決める
産後クライシスにならないためには、役割分担を決めるの一つの方法です。このとき「自分の方が育児をしている」という不毛な争いはやめましょう。
ママが赤ちゃんを見ていたらパパが掃除をして、パパが赤ちゃんを見ていたらママがお洗濯を干すなどと具体的に決めるのがおすすめです。料理はできる状態でなけばお惣菜を買ってきたり、宅配サービスを有効活用しましょう。
相手の育児レベルを批判しない
ママは必然的に一日中育児をするので育児スキルがどんどん上がっていきます。
対してパパは日中は仕事をしているので、家にいる間にどんなに育児をしてもママのレベルまでには到底及びません。おむつを替えるだけでも、ママなら10秒でおわるのがパパだと1分かかるかもしれません。
たとえそうだったとしても絶対に相手の育児レベルを批判しないようにしましょう。批判されると一気にやる気がなくなりますし、「だったら自分でやれば?」とイライラさせてしまうかもしれません。
お互いのペースで頑張ればいいと考えることが大切です。
優しい言葉遣いを心がける
産後の体は女性自身が思っているより疲労困憊しています。出産は大きな事故レベルの衝撃が体にかかるのだとか。
パパはママがイライラしたり、しんどそうにしていたら、「俺は何をしてあげられる?」と優しく聞いてあげてください。
そしてママはその言葉を前向きに受け止めてください。「そんなこと自分で考えてよ!」とは言わないようにしましょう。
パパはママがあまりにイライラしていると、自分が赤ちゃんの世話をしてさらにイライラさせたらどうしよう…とやりたくても躊躇することがあります。
ママがパパに指示する場合も、「おむつ替えてくれる?」「悪いけどごはんの準備してくれる?」と優しい言葉遣いを意識しましょう。
産後クライシスにならないためには思いやる気持ちが大切!
どんな夫婦でも産後クライシスになる可能性はあります。普段はとても温厚な女性でも、産後のホルモンバランスの乱れで、短気になったり突然泣いたりすることも珍しくありません。
しかし産後クライシスは男性の振る舞いで避けられる可能性が高いので、ぜひこれらのことを頭に入れておき、良好な夫婦関係をキープしましょう!
私はイライラしたとき、ヨガをしたりストレッチして体を動かすようにしてます!
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